日清製粉グループ

 昨年7月にも“全粒粉パワー”を取り上げましたが、覚えていらっしゃいますか?真夏の夏バテ対策としてビタミンB1についてご紹介しました。でも、全粒粉の実力はそれだけではないんです。

そもそも全粒粉というのは、普通の薄力粉とどこが違うのでしょうか?

 ひとことで言えば「麦を丸ごと粉にしたもの」。「フラワー」などいつも使っている小麦粉は、皮などの部分を除いて食べやすくしています。夾雑物(きょうざつぶつ:よぶんな物。ここでは皮部など)が入っていませんので、お料理も上手に仕上がります。一方、全粒粉は麦を丸ごと挽いていますので、ふすまといわれる皮部や胚芽が持っている栄養をすべて摂ることができるのです。


 どんな栄養かというと、食物繊維や鉄分、カルシウム、亜鉛などなど各種ミネラルがたっぷり含まれています。ふすま(皮部)にある『フィチン酸』は最近、大腸ガンに有効なのではという研究も進んでいるんですよ。

 精白薄力粉(一等)の2倍以上含まれている全粒粉の栄養素を書き出してみると、マグネシウム 11.7倍、ビタミンB6 11倍、亜鉛 10倍、ナイアシン 8.1倍、不溶性食物繊維 7.5倍、鉄 5.2倍、葉酸 5.3倍、銅 4.7倍、リン 4.4倍、ビタミンE 4倍、カリウム 2.8倍、ビタミンB1 2.6倍、パントテン酸 2.4倍・・・。こんなにたくさん入ってるんです。

 全粒粉がいかに栄養素に恵まれているか、ご理解いただけたでしょうか?今回は、この中でも不足しがちな食物繊維と鉄分のお話をしたいと思います。


*5訂  


 すでに見ていただいたように、全粒粉は食物繊維がたっぷり。食物繊維の総量で見ると、薄力粉の4.5倍を含んでいます。全粒粉を使ったパンは、独特の歯ごたえがたまらないですよね。あの食感を生み出すのが食物繊維です。

 
ここで表をご覧ください。食物繊維には『水溶性』と『不溶性』の2種類があります。『水溶性食物繊維』は、果物のペクチンや海藻のアルギン酸、こんにゃくのグルコマンナンに含まれていて、体の中でゲル状になり、血液中のコレステロールを下げたり、糖分の吸収を抑制したりしてくれるもの。全粒粉に多く含まれるのは『不溶性食物繊維』です。

『不溶性食物繊維』は、水に溶けないので体に吸収されると水分を含んで膨らみ、腸壁を刺激して、お通じを促してくれるんです。

 この不溶性食物繊維、不足するとどうなるのでしょうか?

 食物繊維は、成人で一日20〜25gを摂ることがいいとされていますが、現状では17gを切っているといわれています。食物繊維20gといえば、1kgのキャベツまるまる1個分。毎日毎日キャベツを丸ごと食べられませんよね。

 
食物繊維が不足すると、便秘がちになって回数だけでなく排便量も減ってしまうのです。お腹にずっと便がある状態は、大腸にも負担がかかります。そのため、食物繊維不足の状態が日常的に続くと大腸ガンなどの大腸疾患にかかりやすくなるともいわれています。便秘がちな子どもも結構いるそうですから、お母さんは心配ですよね。

 
コワイお話をしてしまいましたが、でも、大丈夫。要は『不溶性食物繊維』をきちんと摂って、お通じをスムーズにしてあげればいいのです。たとえば麦ご飯や玄米ご飯などもいいですね。「でも、消化吸収が悪い精製度の低い穀物は小さな子どもや高齢の家族にはちょっと・・・」というときは、粉にされて消化によい全粒粉がお役に立ちます。食物繊維はビタミンと異なり加熱しても壊れませんから、パンやお菓子作りにどんどんご利用くださいね。


 
大切な食物繊維ですが、サプリメントでの摂りすぎにはご注意を。下痢やミネラル吸収阻害などの原因になります。おやつや食事が現状では不足しがちな上に、食べることでの満腹感もあるため過剰摂取の心配はないのですが、サプリメントなど気軽にたくさん摂取できるものは注意が必要です。子どもには特に注意しましょう。子どもにとっては「噛んで食べる」こと自体が大切なのです。栄養は食事やおやつから摂って、サプリメントはほんとうに『補助』だけにとどめてあげてくださいね。

 
余談ですが、「噛む」というのはとっても大切なこと。唾液の分泌を促して消化吸収を助けることはもちろん、アゴを鍛えたり脳を刺激して活性化させるという効果もあります。噛むことと知能の関係にはちゃんと実証実験があって、よく噛む子どもの知能指数の平均は、よく噛まない子どもより明らかに高いことが判明しているそうです。「かわいい子にはよく噛ませろ」ということですね。

 それに、やわらかい食事が増えたことで噛む能力が極度に低下した子どもが増加しているんです。せっかく手作りするんですから、いつものレシピに一工夫加えて、全粒粉パンや根菜など噛みごたえのあるものを食べさせてあげるようにしてくださいね。