玄関を開けると、オーブンから香ばしくお菓子の焼けるいい匂い。

 おやつには、おいしさとともにお母さんのやさしさや元気の素や幸せがぎゅ〜っと詰まっています。そして、お子さまの心と体を健やかに育む『秘密』もたくさんあるんです。
第11回『おやつ』の回で、「おやつは食事の一環なんですよ」というお話をしました。毎日の暮らしに欠かせない生活の一部ですから、子どもたちはおやつからだって多くのことを学んでいきます。たとえば食べる喜び、「おいしい」と言うとお母さんがうれしそうに笑うこと、それから食べる前には手を洗うこと。規則正しい生活や食事のルールも学んでいるんです。今月は、おやつの時間に子どもたちに教えられることについて考えていきましょう。
監修:こどもの城 小児保健部  管理栄養士 太田百合子先生

 寝っ転がってご飯を食べる人はいませんよね。おやつも食事の一部ですから、きちんとテーブルについて食べるようにしましょう。満腹感はたんに胃袋だけで感じるものではないんです。たとえば、ひとりだけの食事ってどこか味気なくて、お腹いっぱいになった気がしない時ってありませんか?「いただきます!」で始めて「おいしいね〜」なんて言いながら食事をして「ごちそうさま!」で終わるから、「あ〜、おいしかった。満足、満足」と言えるのです。
 だらだら食べると・・・
ゲームをしながら食べていると、味わうことがおろそかになるので満腹感もなくダラダラ食べてしまいます。ですから「お腹いっぱいでご飯が入らない」とか、もっと深刻になると「油脂と糖分の摂りすぎで肥満や生活習慣病」といった結果を招いてしまいます。

 テーブルで食べるように習慣がつけば、食事やおやつの始まりと終わりがきっちりしているうえに、ちゃんと味わうことで満足感があるから、ダラダラ食べ続けることはありません。

 最近のおやつの困った傾向
最近のおやつの「困った傾向」として、このような「ながら食い」の他にも、「日に何度も食べる」「朝食前からお菓子を食べてしまう」「買い食い」などがありますが、もうひとつ「おやつの孤食化」も進んでいるようです。

兄弟や友達と食べる機会が減り、家にお母さんがいるにもかかわらず、いろんな理由からひとりで食べるという子も少なくありません。お母さんのいるリビングやテーブルではなく自分の部屋で食べるという子もいますが、「おやつも食事」と考えるとこのようなことは、実は好ましいことではありません。

 おやつは必要な栄養を補うものですが、子どもの楽しみや家族とのコミュニケーションが図れる、心の面でも大切な時間なのです。心の面でこどもをひとりにしないために、たとえば働いているお母さんだったら、お子さんにあててメッセージを添えておく、お休みの日だけでも一緒に食べるなどしてあげてはいかがでしょう。おうちにいるお母さんだったら、一緒にテーブルについて「おしゃべりしながら」おやつを食べてみませんか。

それからお休みの日のおやつって、大人にとっても楽しい時間ですが、どうしてもおやつを食べる回数が増えてしまいます。また夏休みになると子どもたちの生活も乱れがち。
おやつは決まった時間に取るようにして、生活のリズムをキープしましょう。
 登校・登園前の朝ご飯は、大人たちも何かと気ぜわしくて、食事のマナーを噛んで含めるように教えてあげるゆとりって、なかなかありませんよね。その点、比較的時間にゆとりのあるおやつの時間なら子どもたちにゆったり接してあげられそうな気がしませんか?
 
そこで、食事のマナーやルールもおやつの時間を使って教えてあげるのはどうでしょか?

食事のマナーとルール
食事は決まった時間にテーブルで食べること
食事の前は手を洗うこと
だらしなく座ったりしないできちんと座ること
よく噛んでゆっくり味わいながら食べること
食事の前後にはご挨拶すること
お皿をなめたりしないことやきちんとした箸使いなどのテーブルマナー
食べた後には歯を磨くこと

いっぺんにアレもコレもと思わずにゆっくりと。
まずは「手洗い」「ご挨拶」「歯磨き」から始めてみましょう。もちろんママも一緒にしましょう。そして、なぜそうした方がいいのかきちんと理由も教えてあげてくださいね。焦らず子どものペースに合わせていきましょう。

それから「ママの作ったクッキー、おいしいね」って言われたら、「おいしいって言ってくれると、ママ、すっごくうれしい!」って笑顔で言ってあげてくださいね。
こうしたコミュニケーションを通じて、「おいしいね」と相手をねぎらう気持ちなんかも育っていくんです。
そして、いろんなことをお話してください。今日のおやつに使っている食材の話や栄養の話、なんでもよいのです。たとえば牛乳がテーブルに並んでいたら、牛さんの話や牧場の話をしてあげることだってできますよね。

もちろん、子どものお話もたくさん聞いてあげてくださいね。おしゃべりで気持ちが満足すると、なんだかむしゃくしゃして間食してみたり、ということもなくなるはずです。
時間がたっぷりあるなら、一緒におやつを作ってみるのも楽しいですね。
こうして毎日の生活の中で、子どもたちは「食」を体験し、知っていくんです。