玄関を開けると、オーブンから香ばしくお菓子の焼けるいい匂い。
おやつには、おいしさとともにお母さんのやさしさや元気の素や幸せがぎゅ〜っと詰まっています。そして、お子さまの心と体を健やかに育む『秘密』もたくさんあるんです。

※ママのおやつ※
今月は陰暦の10月。最初の亥の日は「亥の子の祝い」といって亥の子餅をいただきます。ご紹介したのは、和歌山県桃山町のレシピです。
先月は、「食材のこと、お子さんに教えてあげられたらステキですね」というお話をしました。「旬についてもお話ししてあげて」と書きましたけれど、今月はおなじ季節モノでも「行事」について考えていきたいと思います。 忘れられつつある季節の行事を上手に暮らしに取り入れて毎日をイキイキさせましょう!
監修:こどもの城 小児保健部  管理栄養士 太田百合子先生

 早いものであと2週間もすると、町にはちらほらクリスマスのイルミネーションが灯り出します。クリスマスの後には、大晦日、そしてお正月、お正月明けに七草粥を食べて月半ばに鏡開きをすると、節分が待っています。私たちの暮らしは、さまざまな行事とともにあるんですね。そして、それぞれの行事にはそれぞれの「付き物」の食があります。これが行事食。お正月のおせち料理やお彼岸のぼた餅なんかが代表選手です。

 さて、クリスマスが近づくと、雑誌やテレビで「世界のクリスマス」とか題してイギリスのクリスマス料理はプディングを作って、イタリアではパネトーネを食べます・・・なんて特集が組まれるでしょう?行事食は、どこの国でもその土地ならではの素材や味と結びついているんです。日本でいえば、地域ごとにお雑煮が違いますよね。

 そうなんです。行事食って、その土地の伝統や食文化を一番ダイレクトに伝えてくれるものなんです。毎日の暮らしに行事を取り入れるということは、子どもたちに日本ならではの、そして、地域ならではの文化を『押しつけるのではなく、自然と』伝えることでもあるんですよ。子どもの頃に経験した食の記憶は大人になっても残りますから、季節が巡るとなんとなくあの味を食べたいな・・・なんて自然に思い出す「心のふるさと」になってくれるんです。
 私子どもの頃の食体験は、幼児期に培われるといわれています。赤ちゃんの頃からの食事の経験が、その人の一生の食事行動パターンに影響するともいわれているんですって。

 
この食体験は大きく3つに分かれるそうです。ひとつは「味の記憶」。もう一つは、お餅を持ったら重いとかキュウリにはイボがあるなど「調理の記憶」。最後に、お彼岸にはを食べたなどという「実際の体験」。季節ごとの行事や行事食から自然に伝統を学び、文化を受け継いでいくのです。70年代以降、家庭から食文化が失われつつあるといわれています。もっともっと伝統や文化を大事にしたいですね。

 
それに、行事食ってなかなか一人では食べないですよね?節分なら「みんなで」豆まきをしたり、雛祭りなら「みんなで」お雛様を囲んだり、わいわいいただくのが行事食。食事は楽しいっていう経験って大切だと思いませんか?行事食は、楽しい食事の思い出をたくさん作ってくれるはずです。

 
「そんなこと言っても私は行事食なんか作れない」というお母さんは、このときとばかりにおばあちゃまを頼ってしまいましょう。お子さんにもお手伝いをいっぱいさせてあげてください。食べるだけでなく、作る体験もできれば楽しさ倍増です。「食事は楽しいもの」という原体験がベースにあれば、素敵な大人に育ってくれるはずです。

行事は、最初にお話ししたようにその土地土地で違うものです。下に書きだしたのは、あくまでも主な行事に過ぎません。もしもお住まいの地域で、その地域にしかない行事や郷土食があったとしたら、ぜひぜひ教えてくださいね。

行事名 季節のお菓子
1月(睦月) 1日 元日 おせち料理 雑煮
7日 七草 七草粥
11日 鏡開き 汁粉
2月(如月) 立春の前日 節分 鬼打豆 太巻き
3月(弥生) 3日 桃の節句 雛あられ 白酒 蛤のお吸い物
20日〜5日 春分 おはぎ(ぼた餅)
4月(卯月) 清明の前日 寒食節 冷たい食事
8日 灌仏会 甘茶
5月(皐月) 5日 端午の節句 ちまき 柏餅
6月(水無月) 7日 さびらき ふき俵
初旬 さなぶり 赤飯
30日 水無月 水無月
7月(文月) 第一週頃 半夏生 タコ
下旬 土用 ウナギ
8月(葉月) 中旬 迎え団子 あんこもち
9月(長月) 1日 八朔 にがもち
9日 菊節句 栗入り赤飯 菊酒
中旬 中秋の名月 月見団子
彼岸 ぼた餅(おはぎ)
10月(神無月) 最初の亥の日 亥の子祭/炉開き 亥の子餅
17日 新嘗祭 じゃこ寿司、箱寿司
11月(霜月) 15日 七五三 千歳飴
12月(師走) 22日頃 冬至 かぼちゃ、小豆粥
31日 大晦日 年越しそば